日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-246
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一般演題 ポスター
ラット尿中腎障害バイオマーカーの安定性に関する報告
*作田 直道三木 篤子花香 奈津美大江 みどり田中 光恵村田 英治緒方 英博平塚 秀明
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抄録

【緒言】腎障害を予測することは極めて重要であり,非侵襲的かつ経時的に得ることが可能な尿は有用性が高い.ラットの場合,検査に必要な尿量を確保するためには一定時間の蓄積尿を用いる必要があるが,ラット尿中における腎障害バイオマーカーの安定性に関する情報は乏しく,採尿中に各種バイオマーカーの活性が変化するかどうかは不明である.そこで我々は,ラットに腎毒性を誘発する薬剤を投与して尿を採取し,経時的に測定を行うことで尿中腎障害バイオマーカーの安定性を検討した.

【方法】ラット(雄性,10週齢)にシスプラチンを5 mg/kgの用量で単回腹腔内投与した.投与日を第1日として,第6日に新鮮尿(最長3時間の蓄積尿)を採取した.採尿は氷冷下で行い,得られた尿を用いてClusterin,B2M,αGST,GSTYb1,RPA-1,NGAL,KIM-1及びOsteopontinをECL法にて測定し,Cystatin-C,総蛋白,アルブミン,NAG及びクレアチニンを自動生化学分析装置にて測定した.採取直後に測定した尿中腎障害バイオマーカー値を初期値とし,室温保存25時間後,冷所保存25時間後,凍結保存(約-80℃)25時間後の測定値を比較した.

【結果】測定したバイオマーカーのうち,NAG,GSTYb1,NGAL及びOsteopontinについては,初期値と比較して室温保存25時間後の測定値に減少傾向が認められた.さらにOsteopontinは冷蔵保存25時間後の測定値も同様に減少傾向が認められた.その他の項目については,いずれの条件下でも測定値に大きな変化は認められなかった.以上の結果より,測定するバイオマーカーの項目によって尿採取時の温度条件を考慮する必要があると考えられた.

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