わが国では,ヒト細胞を用いる再生医療の法的枠組みが整備されてきた.その細胞材料のソースとして生体組織由来の体性(幹)細胞が活用されている.世界的にも間葉系幹細胞などの体性幹細胞による再生医療が先行し進んできた.この際,間葉系幹細胞の細胞特性として,次の2点を考慮する必要がある.1)細胞移植に必要な細胞数を得るため,拡大培養し継代を重ねる必要がある.2)間葉系幹細胞は非均一性の集団であるため,細胞品質や治療の有効性を評価するための判断が難しい.今後さらに,体性幹細胞による再生医療への応用が進み,安全性と経済性を考慮した上で,より高品質な細胞原料を供給するために,幹細胞評価技術,自動培養技術,分離・精製技術および保存技術など再生医療周辺産業の開発がさらに必要であると思われる.再生医療が現実の医療として発展するなか,再生医療技術は創薬など分野を広げて応用が期待されている.今回,間葉系幹細胞の特性を理解しつつその応用の可能性について考えてみたい.