日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-21
会議情報

口演
男性労働者における1-ブロモプロパンの健康影響調査
*水木 将阿部 隆太當房 浩一長谷川 航平塚原 照臣野見山 哲生
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】1-ブロモプロパン(以下、1-BP)は、産業界において洗浄剤、溶剤、冷却剤として使用されている。1-BPにおける健康影響は、疫学調査において末梢神経への影響が報告されている。日本産業衛生学会は許容濃度として0.5 ppmを勧告している。本調査では、1-BP曝露と末梢神経への影響について検討した。

【方法】調査は2018年7月から2019年8月に行った。調査対象者は1-BP取扱い作業工場に勤務する男性労働者48名とした。解析対象者は、腰椎椎間板ヘルニア等の有病者を除外し、曝露状況から直接曝露群A 14名、間接曝露群B 8名、対照群15名の37名とした。1-BP個人曝露濃度測定は、パッシブサンプラー(SKC Inc.製)を用いた。神経学的検査は、振動覚閾値検査(63、125、250 Hzにて測定、リオン株式会社AU-02B)、音叉を用いた振動覚検査を四肢で行い、その他、医師による問診、業務経歴の確認、防護服着用の確認、質問票による自覚症状調査、腱反射検査を実施し、1-BP曝露と神経学的検査結果の関連を検討した。

【結果】解析対象者の平均年齢は、曝露群A 45.6±11.4歳、曝露群B 52.9±8.4歳、対照群40.3±12.8歳で、曝露群Bが対照群に比し有意(p=0.023)に高かった。1-BP個人曝露濃度は、曝露群A 4.8±11.1 (0.02 - 42.5) ppm、曝露群B 0.3±0.3 (0.01 - 0.76) ppm、対照群は曝露を検出しなかった。振動覚閾値、腱反射は各群間で有意差はなかった。音叉による振動覚検査は、同一の測定者による曝露2群の比較を行ったが、有意差はなかった。

【考察】曝露群Aは、個人曝露濃度の平均値が許容濃度を超えていたが、1-BP曝露による末梢神経の影響を検出しなかった。今後、低濃度における影響をさらに検討する必要がある。

著者関連情報
© 2020 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top