主催: 日本毒性学会
会議名: 第47回日本毒性学会学術年会
開催日: 2020 -
【目的】肥満2型糖尿病モデル動物であるSDT fatty (f) ラットにコリン欠乏メチオニン低減アミノ酸食(CDAA)または高脂肪食(HF)を給餌し、肝臓及び腹腔内白色脂肪に及ぼす影響について検討した。
【材料・方法】実験は、17週齢のSDT f及びSD雄性ラットに基礎食(CE2:日本クレア社)、HFまたはCDAA(リサーチダイエット社)を4週間自由給餌させ、21週齢時に解剖、採血後に主要臓器を採取し、各種解析を実施した。
【結果】体重は、SDラットで全群順調に増加したが、SDT fラットのCE2及びCDAA群で4週目に減少した。最終体重は、両系統共にHF群で最も高かった。肝重量は、SDラットでCDAA群が最も高値を示し、SDT fラットでCE2群が最も高かった。脂肪重量は、両系統共にHF群で高かった。血液生化学検査では、SDラットのCDAA群でALT及びAST活性が高値を示したが、SDT fラットに同変化が見られず、HF群でTG濃度の著増のみが見られた。血糖値は、SDT fラットで明らかに高かったが、餌による差がなかった。病理組織学的検査では、両系統共にCDAA及びHF群で肝細胞の脂肪化が認められたが、SDTfラットがSDラットより弱かった。脂肪では、両系統共にHF群で脂肪細胞の肥大が見られ、SDT fラットでより明らかであった。白色脂肪組織の遺伝子発現解析では、炎症系関連遺伝子及びミトコンドリアの脱共役能に関連するUCP1がSDT fラットのHF群で高値を示した。
【考察】SDT fラットでは、SDラットと比較して、特殊飼料の脂肪肝誘発効果が弱く、HFの内臓脂肪蓄積効果が強かった。現在、その機序の解明を進めている。