日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: S11-2
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シンポジウム11
非侵襲生体計測に向けた印刷型電気化学バイオセンサの開発
*長峯 邦明松井 弘之時任 静士
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抄録

高齢化が加速する日本において、健康寿命を延伸することは労働力の確保や医療費削減のためのみならず、健康で生き生きとした楽しい人生を長く続けるうえで非常に重要である。健康寿命を延伸させる方法の1つとして、積極的な予防医療の実践が挙げられる。予防医療では、各人が自らの健康を把握し、理想的には病気になる予兆を把握して、重症化する前に治療することが求められる。一方で、健康状態の詳細な把握には、場合によっては一般健康診断のように採血して血液中の成分の変化を把握する必要がある。しかし、高齢者を含め、健康な人々が日々採血しながら健康状態を把握するということは受け入れがたく、例えば体重を測るように、採血不要で、簡単に毎日の健康状態を把握できる新しい生体センサが理想である。

近年の分析技術の進歩により、生体試料中の成分(ゲノム、タンパク質、代謝物など)の網羅的解析が可能となり、各種病気と生体液組成の関連性に関する知見が蓄積しつつある。例えば、涙、尿、唾液、汗など、ヒトを傷つけることなく採取可能な外分泌成分も積極的に解析されることで、これらの生体液にも血液成分の一部が含まれることや、その成分と各種病気との関連性が示唆されている。一方で、例えば尿は一般健康診断でも用いられているが、任意のタイミングでいつでも採取できるものではない。汗や唾液は比較的いつでも採取可能であることから解析が活発に行われており、いくつかの成分は病気との関連性が示唆されている。心拍や脈拍などのバイタルサインからは把握できない体調の質的な変化を、これら非侵襲に採取可能な外分泌成分の変化からとらえるべく、ウエアラブル型やポータブル型など様々な形態のセンサが世界中で研究開発されている。本発表では、これら近年の研究動向と共に、当研究グループが注力している汗と唾液を対象とした電気化学バイオセンサの開発例について紹介する。

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