主催: 日本毒性学会
会議名: 第47回日本毒性学会学術年会
開催日: 2020 -
ヒトでは感覚入力の約 80%が眼からの入力であるため、失明に繋がる慢性網膜疾患を罹患するとQuality of Life(QOL)の著しい低下を招く。加えて、網膜疾患は高齢者に多く、超高齢化社会を迎えた我が国では網膜疾患の病態解析と治療法開発が喫緊の課題となっている。網膜疾患に対する医薬品候補化合物の評価には、疾患モデル動物が使われているが、ヒトへの外挿性の他、倫理面、コスト面でも課題を有している。加齢黄斑変性など新生血管の出現は失明原因の主要な病態として重要であるが、加齢、酸素濃度、エネルギー代謝、圧、血流、遺伝子など様々な因子が関わっており、その背景は複雑である。新しい薬剤や治療法の開発には、眼疾患の病態メカニズムを正確に理解することが必須であり、複雑で慢性的な病態を簡単に模擬できる培養モデルが極めて有用である。本講演では、我々が開発しているマイクロ流路デバイスを用いた網膜疾患を模倣する臓器チップを紹介する。