日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-39
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口演
ゼブラフィッシュ発生毒性試験における品質管理プロトコルの確立
*田中 利男小島 肇藤原 道夫森 華奈子山本 恭子山田 佳代子水谷 有香森 葵泉加藤 由起子
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抄録

2021年1月29日、医薬品規制調和国際会議(ICH)による医薬品の生殖発生毒性評価に係わるガイドライン(DETECTION OF REPRODUCTIVE AND DEVELOPMENTAL TOXICITY FOR HUMAN PHARMACEUTICAL S5(R3) )が医薬品医療機器総合機構(PMDA)により報告され、我が国でも本格的に代替法としてのゼブラフィッシュ発生毒性試験が展開されている。そこで、このゼブラフィッシュ発生毒性試験における最重要基盤であるゼブラフィッシュ品質管理プロトコルの確立を試みた。世界で最も頻用されているゼブラフィッシュABラインを、米国ZIRCから入手した。まず12,906個の受精卵を解析し、受精後3時間までに297個(2.3%)の受精卵が死亡した。この受精後3時間においてすでに2,104個(16.3%)に形態異常が認められた。その後受精後24時間までに、4,646個(36.0%)が死亡することが明らかとなった。しかしながら、この受精後1日後から6日後までの生存率は、64.0%(1dpf)、61.3%(2dpf)、59.0%(6dpf)と、受精後24時間までにおける急激な生存率低下に比較すると安定していることが認められた。一方、これら受精後3時間から6日後におけるタイムラプスイメージングを実施した結果、受精後3時間における受精卵異常イメージングにより、少なくとも受精後24時間までの急激な死亡を予測できることが明らかとなり、受精後24時間までの死亡予測能を強化するための診断基準を確立した。その結果、発生毒性試験のための化合物暴露開始(6hpf)前に、これらの低品質受精卵を除去することが可能となり、偽陽性頻度を抑制し、ゼブラフィッシュ発生毒性試験の精度を強化することが実現できたので、報告する。

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