日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-136
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ポスターセッション
新規in vitroエピジェネティック毒性影響評価システムの構築に向けた基盤研究
*大塚 まき宮井 美知山本 直樹土本 彩加田村 英紀種村 健太郎渋谷 淳五十嵐 勝秀
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抄録

【背景・目的】エピジェネティック毒性とは、化学物質の影響によりエピジェネティック制御が乱れて生じる毒性である。エピジェネティック毒性の理解のためには、エピジェネティック変動能を有する化学物質を同定する手法の確立が重要となるが、細胞のエピジェネティック状態を解析するには生化学的・分子生物学的に高度な技術が必要であり、従来の毒性試験手法では対応は困難である。そのため、エピジェネティック毒性を有する化学物質の同定はほとんど進んでおらず、そのメカニズム解明も進んでいない。本研究では、化学物質のDNAメチル化影響を簡便に評価可能とする新規in vitroシステムの構築を試みた。

【方法】マウス神経芽腫由来細胞株Neuro-2aに、プロモーターとしてAgouti-IAPとDaz1遺伝子上流の配列を選び、その下流に発光タンパク質のルシフェラーゼ(NanoLuc)を繋げたレポーターシステムを導入した。また、イメージングも同時に行えるよう、tdTomatoが発現するベクターも同時に導入した。

【結果】陽性物質としてDNAメチル化阻害剤である5azaC添加実験を行った結果、ルシフェラーゼ活性の上昇が認められ、メチル化の低下が示唆された。そして、パイロシーケンスにより、各プロモーターのメチル化低下が確認された。さらに、検出感度の向上を図るため予めレポーターベクターをメチラーゼ処理することで、各プロモーターの基本メチル化レベルの上昇を促し、5azaCの検出感度を向上させることに成功した。

【まとめ】本研究によりDNAメチル化影響を簡便に評価可能な細胞レポーターシステムを開発できたと考えられる。今後、本システムを用い、様々な化学物質や薬剤のエピジェネティック毒性の評価を進めていきたい(J Toxicol Sci. 2021;46:83-90.科研費基盤B(17H01882)の助成を受けています。)

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© 2021 日本毒性学会
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