日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-183
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ポスターセッション
GLP施設におけるテレワーク導入の可能性
*松尾 祐志老松 俊雄大西 洋伸川口 直子河村 恵小杉 沙織小原 奈々紺谷 公一近藤 史典佐々木 恭正大仁 愛子高木 秀夫武内 奈美富永 真貴長野 洋子那須 功二野村 章松本 剛典山下 初江吉田 和美
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抄録

2020年春の新型コロナウイルス感染症の流行以来、我々は仕事の方法を変えざるを得ない状況となっている。テレワークの導入がその代表例である。テレワークの導入率は、第1回目の緊急事態宣言(2020年4月7日)を境に13.2%から27.9%へ倍増したが、緊急事態宣言が解除された後の2020年7月、8月の時点には、テレワークを継続して採用する企業の数は半分以下に減少した。この理由には、10年以上も前から日本政府がテレワークの導入を呼びかけてきたにもかかわらず、導入率が低いままであった事実が無縁ではないと考えられる。テレワークは、実行すべき業務が明確になっていて、単独で粛々と取り組む業務に向いている。一方、これまでの日本企業の雇用制度は、社会経験のない新卒者を一括採用し、様々な職種を経験させながら総合的な仕事ができるジェネラリストを育成する方式である。人材を先に確保し、人に仕事を割り当てるメンバーシップ型の雇用である。メンバーシップ型の雇用では、個人の仕事の範囲が明確になっていないため、単なる業務手段としてテレワークを導入すると、業務管理が困難になってしまう。誰がどの仕事をいつまでに行わなければならないかが、明確になっていないからである。テレワークには、特定の仕事が先にあり、仕事に人を割り当てる働き方(ジョブ型)が向いている。このような「仕事の切り分け」が行われているのがGood Laboratory Practice(GLP)施設である。GLP施設では、試験の品質を確保するため、業務ごとに誰が何をしてどういう責任を負うかということをStandard Operating Procedure(SOP)として明文化している。したがって、SOPを基にテレワークの適用の可否を判断してゆけば、GLP施設へのテレワークの導入はスムーズに行われるはずである。GLP施設でのテレワークへの対応方法を検討することで、これからの日本の働き方のヒントを見つけたい。

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