日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-195
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ポスターセッション
クラウドを利用した電子データ管理に関するGLP信頼性確保の留意点
*吉山 忠宏須藤 宏和
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抄録

国内GLP施設では、安全性試験データの電子化に伴い、GLP電子データを外部データセンターのサーバーに保管する施設が多くなりつつある。近年、電子データの保存技術の進歩に伴い、GLP試験データ管理のための新技術としてクラウドコンピューティング(クラウド)の一つであるSaaSシステムの利用が期待されている。しかし、国内のGLP施設では、SaaSシステムを利用した電子データの管理を実施している施設はなく、GLP上の信頼性をどのように確保しなければならないのかが現状の課題である。

2020年8月にOECD GLP Working Groupより、「Draft Advisory Document on GLP Data Integrity」(DI Draftガイダンス)が公表された。本ガイダンスが正式に発行された際は、GLP電子データのデータインテグリティ確保の要求事項が明らかとなり、この要求事項に基づいて規制当局はGLP適合性施設調査を実施することになる。それゆえ、SaaSシステムを利用するGLP施設(スポンサー)は、本ガイダンスに従って、電子データのデータインテグリティを確認するとともに外部データセンターに対するGLP上の信頼性を保証しなければならない。

そこで、DI Draftガイダンス、及び「外部契約型資料保存施設に関して委託者が実施すべき事項」(PMDA,第25回GLP研修会.2013)に基づいて、クラウドを使用しているデータセンターに対して、スポンサーが確認しなければならないGLP信頼性確保の留意点を検討した。今回、SaaSシステムを利用している海外データセンターの運用を参考にして、クラウドの利用および電子データ管理に関するデータインテグリティの留意点を紹介するとともに、GLP上の信頼性確保のためにスポンサーが管理しなければならないポイントについて報告する。

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