日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: S11-2
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シンポジウム11
抗ウイルス薬の催奇形性
*和泉 祐子
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抄録

ウイルス感染症は日常生活でなじみの深い疾患の一つであり、昨年から世界中で猛威を振う新型コロナウイルス感染症については報道されない日はない。また、毎年冬になると感染者が増加していたインフルエンザに加え、風疹、ヘルペス、後天性免疫不全症候群などもよく耳にするウイルス疾患である。このようなウイルス感染症の中には風疹ウイルスやサイトメガロウイルスなどの病原体と先天異常との関連が知られているものもあり、風疹などはワクチン接種による予防も進んでいる。一方でウイルス感染症を治療する医薬品については、妊婦の臨床試験ができないため、医薬品添付文書の多くが生殖発生毒性試験の結果を基に「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」と記載されるか、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人への投与が止められている。前述の新型コロナウイルス感染症についてはこの1年で既存の医薬品の新型コロナウイルスへの有効性が調べられ、その中でもアビガンやレムデシビルなどが注目を浴びていた。特にアビガンについては、医療関係者と市販後のリスク管理の内容を広く共有する医薬品管理計画(RMP)の中で催奇形性の可能性が述べられおり、コロナ禍における人々の関心の高さから生殖発生毒性が一般メディアでも報道されていたことは記憶に新しい。

本セッションでは、アビガンやそのほかの抗ウイルス薬について、公開されている情報を基に医薬品添付文書の内容とその根拠となった生殖発生毒性について紹介したい。

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