日本毒性学会学術年会
第48回日本毒性学会学術年会
セッションID: W1-1
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ワークショップ1
GLPに関する昨今の国内外の情勢
*伊藤 かな子
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抄録

 薬事分野の国際調和は、医薬品であれば医薬品規制調和国際会議(ICH)、医療機器分野であれば国際医療機器規制当局フォーラム(IMDRF)において推進されているが、Good Laboratory Practice (GLP)に関しては国際機関である経済協力開発機構(OECD)がこれを担っている。OECDは、1)経済成長、2)開発途上国援助、3)多角的な自由貿易の拡大をその設立目的としているが、国際社会・経済の多様化に伴い、近年では、環境、エネルギー、農林水産、科学技術など広範な分野で積極的な活動を行っている。その活動の一つが、化学物質の適正管理であり、その一環としてGLPに関する活動も行っている。OECDは、1981年のデータ相互受け入れ制度(MAD)の策定とそれに伴う加盟国間でのGLPデータ相互受け入れの義務化以降、GLPの国際的調和を行う唯一の機関として今日まで機能している。

 OECD加盟国のGLP査察当局代表から構成されるOECD GLP作業部会(WP-GLP)は、このMAD制度の維持・推進のために様々な活動している。近年では、査察能力の相互評価や査察官の教育訓練活動以外に、GLPを取り巻く様々な事項に対する解釈の共通化のための各種ガイダンス文書の発出や、最新技術の使用に向けた論点整理などを活発に行っている。

 COVID-19のパンデミックは、OECD加盟各国にも多大な影響を及ぼしている。一部の加盟国では、自国の試験施設に向けて、COVID-19影響下でGLP活動を継続するためのガイダンスを発出しており、これらの情報はWP-GLP内で共有され、対応の参考にされている。PMDAでは、COVID-19影響下で行うGLP調査の留意点を公表している。本講演では、COVID-19パンデミックに関して、OECDの最近の活動内容や国内外におけるGLP調査の留意点についても紹介する。

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