日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: O3-22
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一般演題 口演 5
地下鉄で発生する粒子状物質の主成分である酸化鉄微粒子の生体影響
*石川 良賀檜垣 有哉渡邊 ヒカリ本田 晶子市瀬 孝道高野 裕久
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抄録

大気中に浮遊している微小な粒子状物質(Particulate matter; PM)は、呼吸により体内に侵入・沈着し、気管支喘息などの呼吸器疾患を悪化させることが知られている。しかし、PMは発生源や地域、季節などによってその化学組成や生体応答が異なることが知られており、PMの健康影響因子を特定することは依然として課題が残されている。特に、室内環境や閉鎖的空間などで発生するPMについては、屋外で浮遊しているPMに比べて知見が乏しく、濃度や発生源、構成成分、健康影響などについてはほとんど明らかになっていない。近年、公共的かつ閉鎖的な屋内空間の代表例として挙げられる地下鉄構内において、屋外大気中の2~5倍高濃度のPMが検出され、さらにFeやCuなどの金属成分が屋外の数百倍高濃度であるという調査結果が報告された。このように、屋内環境のPMは一般大気中とは全く特性が異なっており、それに応じて健康影響も異なる可能性があるため、この特徴的な化学組成に由来する生体応答を評価することが重要であると考えられる。本研究では、地下鉄で発生するPMの主要成分である酸化鉄微粒子が及ぼす健康影響を評価することを目的とした。本発表では、酸化鉄微粒子(α-Fe2O3およびFe3O4)を気道上皮細胞や骨髄由来免疫細胞、マウスなどに曝露した際の細胞毒性や炎症反応などについて評価を行った結果について紹介する。

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