日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: P1-108S
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学生ポスター発表賞 応募演題
SDTラットの膵島線維化におけるCD44の関与について
*各務 温花宇野 絹子煙山 紀子笹瀬 智彦太田 毅美谷島 克宏
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抄録

【目的】非肥満2型糖尿病モデル動物であるSDT (Spontaneously Diabetic Torii)ラットに生じる膵島の線維化について病態の発現メカニズムを探索した。【材料・方法】通常食 (CRF-1)を給餌した雌性SDTラットについて、8、16、24、32及び40週齢時に採血、剖検並びに諸臓器の採取を施し、各種の解析を実施した。【結果】血液生化学検査において、週齢を重ねるごとに体重は増加した。血糖値は高値を示さなかったが、血中インスリン濃度は週齢を重ねるごとに著しく増加した。これらの結果より、雌性SDTラットは顕著なインスリン抵抗性を呈する病態モデルであることが明らかとなった。病理組織学的に、24週齢以降で膵島の不整化、大型化及び出血が認められた。また24週齢から膵島の線維化が観察され、32並びに40週齢では全個体で高頻度に線維化が認められた。さらに、線維化に関与するとされているCD44陽性細胞が24並びに32週齢で観察され、24週齢と32週齢の比較において、32週齢でより多くの陽性細胞が確認された。しかし、40週齢では同細胞数は減っていた。【考察】糖尿病の病態モデルであるSDTラットに生じる膵島の線維化について、CD44陽性細胞が病態進行に関与しているものと考えられた。なお、40週齢ではCD44陽性細胞数の減少が認められたが、その時点では膵島の線維化はより顕著な病変となっていた。これよりCD44陽性細胞は、膵島線維化の初期からの進行過程に関与しているものと考えられた。

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