日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: P2-132
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一般演題 ポスター
HPPD阻害剤の毒性: マウスが毒性評価に最適な種であることを裏付けるin vivo および 新しいin vitro試験法
*Kazuo SASAKIChristian STRUPPJyotigna MEHTAThomas HOLMESMarkus FRERICKSGiovanna BENINELJean GARCINEnrica BIANCHIJane BOTHAMAlex CHARLTONStéphanie NADZIALEKKosei INUISayaka MIYAMTO
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抄録

4-ヒドロキシフェニルピルビン酸デオキシゲナーゼ(HPPD)阻害型除草剤の実験動物に対する毒性作用機序は、全身にチロシンが過剰に蓄積されて誘発される。HPPDが阻害された場合、チロシンの異化にはバイパス経路であるチロシンアミノトランスフェラーゼ (TAT)が関与する。TAT活性はHPPD阻害剤によるチロシン血症の重症度を促進する主な要因であり、実験動物とヒトの種差の根拠となる。これまでに報告されているTAT活性の検討には一貫性がなく確実性がなかった。特に、イヌは比較的高いTAT活性を示した一方で、毒性試験において角膜混濁が散見される事実と一致せず、TAT活性の種差を科学的根拠とする上で合理性に問題があった。そこでこの問題を明確にするため、ヒト並びに実験動物種におけるTAT活性を確認するための新たなin vitro実験系を開発した。初代肝細胞モデルを用い、薬理効果としてHPPDを阻害するニチシノンを処理したところ、TAT活性は毒性感受性と明瞭な相関関係を示した。これらのデータは、イヌを含むチロシン血症に基づく毒性の種差を説明する上で、TATの役割を支持するものである。これにより、ヒトの健康リスク評価において最も関連性の高い動物モデルとしてマウスを選択する際の信頼性を高めることが証明された。

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