日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-3
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一般演題 口演
アリピプラゾールによる薬剤性肝障害が疑われた一例
*外間 登潮平 英郎中村 克徳
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抄録

アリピプラゾールはドーパミン D2 受容体のパーシャルアゴニズムを主な薬理作用とした非定型抗精神病薬で、その持効性注射製剤(long-acting injection:LAI)は統合失調症や双極性障害の治療に用いられる。両疾患の再発予防には服薬アドヒアランスが重要な鍵となることが多く、LAI製剤は経口剤製と比べて再発予防効果が高いことが指摘されている。LAI製剤は、同成分の内服薬で適切な用量と忍容性を確認した上で投与が開始されるため、経口製剤で副作用の問題がなければ、注意すべき主な有害事象としては注射部位反応のみであると通常は考えられている。

アリピプラゾールは主に薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP) 3A4、CYP2D6により代謝される。CYP2D6は遺伝子多型の存在が知られており、正常代謝能を有するEM、代謝能が著しく低下しているPMとその中間のIMに主に分類される。日本人においてはIMの割合が4割近いとの報告もあり、実臨床においてもその影響は無視できるものではない。

今回我々は、双極性障害の躁状態の患者に対してアリピプラゾールの経口投与を開始し、忍容性を確認した後にLAI製剤に切り替えたところ、薬剤性肝障害の発現が見られた症例を経験した。本症例の薬剤性肝障害発現の経緯には、薬物代謝酵素の遺伝子多型の影響も考えられたため報告する。

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