主催: 日本毒性学会
会議名: 第51回日本毒性学会学術年会
開催日: 2024/07/03 - 2024/07/05
突然死を伴うTorsades de Pointes(TdP)はQT 間隔の延長と関連しており、QT 延長は 多くの場合でhERG カリウムチャネルの機能障害に起因することが知られている。薬物によるhERGの機能障害の機序は、よく知られたものでは直接的阻害とトラフィッキング阻害(hERGのタンパク質成熟と細胞膜輸送の阻害)の2つに大別される。パッチクランプ法によるhERG電流アッセイは、最も一般的なin vitroのアプローチで、通常は短時間の薬物曝露下(通常30分未満)で評価する。したがって、この方法は直接阻害モードの検出に適している。一方、hERGトラフィッキング阻害剤の作用発現は、比較的長時間の曝露(通常数時間以上)により現れる傾向がある。したがって、薬剤のトラフィッキング阻害能の評価では、パッチクランプ法よりも、ウェスタンブロット法(WB)を用いて成熟hERGタンパク質を定量することが一般的である。しかし、WBはhERGの機能を直接的に評価するものではない。
本研究では、既知トラフィッキング阻害剤のペンタミジンに長時間曝露したhERG過剰発現HEK293細胞を用い、経時的にWBとパッチクランプ法を同時に行うことでhERG成熟タンパク質の発現量と電流密度の関係を明らかにすることを試みた。さらに、ランゲンドルフアッセイを用いてペンタミジンの長時間暴露を行い、hERG輸送阻害剤の評価におけるこのアッセイ系の有用性を検討した。