日本毒性学会学術年会
第51回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-79E
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一般演題 ポスター
MC903の反復局所塗布によるアトピー性皮膚炎モデルマウスにおける4週間経日的病態解析
*星野 雄也桐間 一嘉有近 直也角元 勇介松本 智志柴森 雅文日山 英孝
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抄録

【背景】ビタミンD3誘導体であるMC903の局所塗布マウスは、ヒトのアトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis: AD)に類似する、2型炎症、掻破、皮膚バリア機能障害を発症することからADのモデル動物として利用されている。過去の複数の報告により、MC903の塗布量、頻度および期間を含む塗布条件の違いが、皮膚炎の発症時期、進行および重症度に影響を与えることが示唆されている。モデル動物として利用する際、ADと共通する病態の構成要素の推移を理解することは必要不可欠であるが、MC903の同一塗布条件における炎症、掻破および皮膚バリア機能障害の推移は明らかにされていない。本研究では、これらの病態の推移を特徴づけることを目的として、MC903をマウスの耳介に一日おきに繰り返し塗布して誘導される各種症状を4週間経日的に解析した。

【方法・結果】対照群であるエタノール塗布マウスと比較して、MC903塗布マウスにおいて、ダイヤルシックネスゲージによる測定の結果、塗布開始8日後(Day 8)から有意な耳介の肥厚がみられた。一方で、掻破行動(MicroAct®)はDay 3から増加し、皮膚バリア機能障害の指標である経皮水分蒸散量(Tewameter® TMnano)はDay 14から上昇した。耳介の組織学的解析の結果、真皮内の顆粒球の浸潤がDay 4から、肥満細胞の増加およびCD3陽性T細胞の浸潤がDay 8から観察された。耳介のELISAまたはreal-time PCR解析の結果、Day 8からDay 28までの間で2型炎症に関与するTSLP、IL-4およびIL-13の増加が認められた。

【結論】MC903塗布マウスにおいて、炎症、掻破、皮膚バリア機能障害の発症時点や進行のパターンはそれぞれ異なり、これらの表現型をすべて包含する病態はDay 14から確立されることが明らかとなった。

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