教育学の研究と実践
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(研究ノート)日本における教科「外国語」では「どのような」英語を「どのように」教えるのがよいのか
教授プログラムの開発に向けて
大竹 政美
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 20 巻 1 号 p. 13-21

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抄録
 日本では、英語は外国語に他ならない。文部科学省は、それにもかかわらず、日本では英語が第二言語である と思い違いをして、生活言語偏重の「コミュニケーション重視」を進めているという指摘がある。 この研究ノートでは、日本における教科「外国語」ではどのような英語をどのように教えるのがよいのかを検 討する。著者は、学習言語を習得した人は生活言語を比較的容易に使えるようになるのに対して、生活言語ばか りやっていると学習言語を習得するのは困難であって、中身のある会話力は読書量に依存するという主張に基本 的に同意する。  主な結論は次のとおりである。日常生活で英語を必要としない日本では、「読むこと」に「話すこと[やり取り]」を組み込むことによって、読み書き中心の学習言語を教えるのがよい。思考・認識の内容と無関係に会話力をつけるのは無理である。討論に適切で必然性のある内容を持った文章を読むことに焦点を当てる必要がある。学習者は、知的に刺激的な内容(倫理的な問題、実存的な問いを探査するテーマ)を意味のある仕方(真正の目標があるタスク)で探査することができるようになる。  これから開発する教授プログラムは、基本的に、生徒が何らかの論争問題に関する評論文を批評的に読み、関 連する討論を行うことができるようにするタスクの系列である。そのような教授プログラムの開発では、当該の 評論文のテーマに関する学問の研究成果(英語で書かれたものが望ましい)を参照することによって、その評論 文の問題提起・論点を把握することが重要である。
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