抄録
日本教育学会北海道地区では、北海道教育学会との共催にて2024年6月30日に北海道大学を会場とし、「学校・地域・居場所をどう組み直すか」というテーマで公開シンポジウムを開催した。
不登校やいじめ、体罰、多様な教育機会の広がりにより、学校のあり方が根底から問われている。また様々な事情で安定的に生活を営むことに困難を抱えている子ども・若者に対して、スクール・ソーシャル・ワーカーやスクール・カウンセラー、養護教諭等による取組、居場所カフェなど学校内で子どもの生存・生活を支える取組も見られ、学校が支援や支援への接続窓口としての機能を有するようにもなっている。他方、学校外の地域の中で子どもの生存や生活を支える様々な取り組みも広がっており、地域の市民活動と学校との連携協力が展開されている。さらには、地域社会と学校が相互乗り入れするような取り組みも見られる。
こうした多方面に広がる展開を見すえる時、子どもの学びと発達の場をいかに社会に用意すればよいか、学校をこうした広い文脈のもとでどう位置づけていくかをあらためて問うことが求められている。そこで本シンポジウムでは、子どもの育ちの場と公教育のあり方について、具体的な取り組みも提示しながらその再編や展望を議論することとした。