抄録
研究目的前報に引つづき絞り機構の基礎的資料を得るための実験的解析として, 本報では特にトップローラの硬度が絞り効率および絞りむらにおよぼす影響について求めた.研究結果(1) 被処理羊毛塊の大きさ, トップローラが与える全荷重量, トップローラ硬度の各組合せに対して絞り効率を求めた結果, 硬度が大きな影響を持ちまたいずれの荷重量においても最大効率を示す硬度値が存在することを知った.(2) 前項の測定結果から最大絞り効率を得るための荷重~硬度曲線を求め, 本実験の場合の最適硬度は70°~80°の範囲であることを推定はあくした。(3) 上下ローラの接触幅, 羊毛塊とトップローラとの接触面積, 羊毛塊への単位面積当り荷重量, 羊毛塊内の負荷重分布につき測定し, 極高硬度で絞り効率の低下する原因を考察した.(4) 絞り効率に対する絞りくり返し効果および絞りむらに関して硬度の観点から測定し, 極高硬度ローラは絞り回数2回目以後有効であることおよび絞りむら防止に対しては低硬度ほど有効であることを知った.