繊維機械學會誌
Online ISSN : 1883-8715
ISSN-L : 0285-905X
メタリックカードの綿紡への応用
(第5報) 普通針布カードとの比較紡出試験 (その2)
野崎 長二峰尾 良知安藤 国輔木村 弘長谷川 進渡辺 隆一杉浦 賢一
著者情報
ジャーナル フリー

1960 年 13 巻 4 号 p. 229-236

詳細
抄録

研究目的第2報における比較紡出試験のときよりも前報までの研究で望ましいと考えられる2組の歯角度の組合せのメタリックカードワイヤを巻いたかードについて, 普通針布カードと比較紡出試験を行ない, メタリックカードの綿紡への応用の利点を確認しようとした.また普通針布カードにおいてACS取付けの影響をも調べた.研究結果次のような実験結果から, 20sのみならず.40sについてもメタリックカードが普通針布カードよりも利点の多いことを知った. (1) メタリックカードにおけるヨロイ綿はその量が少なく, その結果スライバの歩留まりがよくなるが, 一方異物の吸着力がきわめて高く, スラィバの異物密度が少なくなり, 糸の外観検査でもカスネップの評点は普通針布カードの場合よりもすぐれている. (2) メタリックカードにおけるヨロイ綿の繊維長はきわめて短く, 長い繊維はほとんどすべてスライバとなり, 繊維利用の効率が高い.したがってスライバの歩溜まりがよいのにかかわらず, スライバの繊雄長は普通針布カードのそれと変らない. (3) スラィバの太さむらについてはメタリックカードが悪い.それは工程とともに改善され, 糸のU%の差はほとんど認められなくなるが, 外観検査ではやはりいくらか劣る.スライバの方向性は工程とともに著しく改善されるが, 両型カードの間の差はきわめて小さい. (4) 引張強さではほとんど差が認められないが, その値のばらつきではメタリッタカードの方が大きい.これは前項で述べた糸むらと関連がある. (5) 普通針布カードにACSをつけてもスラィバのナップ密度は並ソウジ後の時間とともに増加し, 並ソウジを必要とすることがわかる.しかしACSをつけると並ソウジの周期を長くしてもよく, スライバの歩留まりは増えるが, スライバの品質にはほとんど差が認められない. (6) 綿用メタリックワイヤの歯角度としてシリンダ用は大きく.ドッファ用は小さいことが望ましい.

著者関連情報
© 社団法人日本繊維機械学会
次の記事
feedback
Top