繊維機械学会誌
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摩擦車を用いた機械式無段変速機の動特性
走行糸布の送りの制御における操作について
中島 粂男栗林 勝利
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1974 年 27 巻 4 号 p. T53-T64

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抄録

目的糸や布を送る工程において被加工物の送りの速度, 張力制御の操作部として機械式無段変速機が多く用いられている.本論文では摩擦車を用いた変速機を取上げ, この動特性を巨視的な立場から理論と実験とにより解析する.
結果理論解析上, ころがり接触部でのころがりの方向のすべりはその方向の接線力のみの関数で表わすことができ, この関数はあらかじめ静待性実験により求めることができると仮定して動特性の解析を行った.
1) 動特性は非線形の常微分方程式により表わされるが, 設定角速度と設定トルクの近傍において上式を線形化することによって動特性を表わす伝達関数が求まった.その結果1段接触形式の変速機の動特性を表わす伝達関数は分母2次, 分子2次となり, 2段接触形式の場合は分母3次, 分子2次となることがわかった.
2) 実験には1段接触形式の変速機を用い, 動特性の実験結果と理論計算結果とを比べた.その結果両者は比較的よい一致を示し理論解析での考え方が妥当であることがわかった.
なお実験に用いた変速機の場合, 設定角速度と設定トルクの値がわかると動特性は大きな影響を受け, それら設定値が大きいほど動特性を表わす時定数が大きくなる.

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