1977 年 30 巻 5 号 p. T98-T103
目的 セルロース系繊維の布をメチロール基を含む反応型含リン難燃剤で加工した場合, どのくらい遊離ホルムアルデヒドが検出されるかについて, 難燃加工効果と対比しながら検討することを目的として, 本報ではレーヨン布をPyrovatex CPで加工した場合 (アミノ樹脂を併用した場合も含めて) について実施した.結果 加工布をアセチルアセトン法およびフロログルシン法で測定すると、かなり多くの遊離ホルムアルデヒド量が認められ, 特にソーピングを行なわない場合にはきわめて多量であった.含リン量と酸素指数の測定結果からみて十分な難燃性が得られ、しかも遊離ホルムアルデヒドがまったく検出されなかったのは, アミノ樹脂を併用しないで難燃剤単独の高濃度液 (一般に使用されている標準濃度の2倍) で加工し, ソーピングを十分に行なった場合だけであった.これらの結果, 遊離ホルムアルデヒドが問題となる製品分野においては, 難燃性の持続性, 恒久性は犠牲にしても, アミノ樹脂の併用は避けるべきであると結論される.