1995 年 48 巻 4 号 p. T79-T86
目的 ワンピースドレスのシルエット形成に適した素材の選択基準の手がかりを得るために, 婦人洋装用薄手布を試料として, その風合いの視・触感イメージとそれらのワンピースドレスの4つのシルエットへの適合認知との関係を検討する.成果 布の風合いの視・触感イメージの因子分析を行った結果, 「ソフト感」「高級感」「かさ高感」の3因子が抽出され, 因子得点に基づくクラスタ分析から, 素材の属性で類型化された4つのクラスタが得られた.このクラスタと各シルエットに対する適性評価値との関係を検討すると, いずれのシルエットの場合も, そのシルエットへの適合性に対してクラスタ間に差異が認められた.ウールライクな布は4シルエット全部に適するが, シルクライクな布はS4 (フイット&フルシルエット) 以外の3シルエットには適さない.コットンライクな布はS3 (テントラインシルエット) とS4に適するが, リネンライクな布はS3とS4には不適でS1 (ストレートシルエット) に適することが明らかになった.また, S3を除く3つのシルエットへの適合度は前述の因子で判別され, S1とS2にはソフト感と高級感のない布が適し, S4にはソフト感のある布が適することを確かめた.