繊維機械学会誌
Online ISSN : 1880-1994
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紡機用焼結リングの材質設計と性能評価
(第3報) 被削性について
金井 宏彰柳生 清秀丸田 明中沢 賢河村 隆
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1997 年 50 巻 2 号 p. T31-T41

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抄録

目的 紡機用鉄系焼結リングの表面特性を向上するため, 焼結助剤MoS2とFeMnの配合比が, 切削抵抗, 試料表面の塑性動状態, 表面粗さ, 通気性, 工具摩耗に及ぼす影響を実験的に検討する.成果 (1) 鉄系焼結合金の被削性は, 焼結助剤のMoS2とFeMnの配合割合でかなり変化し, MoS2の潤滑作用により, それの増加とともに向上することが確認された.(2) 基本的にはMoS2の配合量の増加により, 切削抵抗が減少するので, 試料表面の塑性流動による加工変質層が薄くなり, その結果通気性が良好になることが示された.(3) 表面粗さは焼結助剤配合割合に対し, また・切削量に対し規則性を以て変化するが, 特にMoS2が67%以上では表面粗さが向上し, 切削量が増大しても表面粗さが変わらない.(4) MoS2が59%以下では, 被削性が低下し, 工具の摩耗が多くなる.またMoS2が71.4%以上になると.凝着物暫の付着が見られた.(5) 通気性, 表面粗さ, 工具摩耗の点から総合的に判断すると, MoS2が60~70%が望ましいことが示された.

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