ばね論文集
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ばね鋼の強化と破壊挙動におよぼす改良オースフォームの影響
大森 宮次郎
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1986 年 1986 巻 31 号 p. 39-46

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抄録

Mn-Cr-Bばね鋼 (SUP 11A) を温度範囲880°-約720℃で50%までの厚さ減少で加工し, ただちにマルテンサイトに焼入れする改良オースフォームによって, 高い強度, 変わらない延性, 良好な衝撃特性および優れた疲労挙動がえられた. 電子顕徴鏡による観察結果は, 通常熱処理鋼には旧オーステナイト粒界に沿った破壊が部分的に生ずることを示した. しかし改良オースフォームした鋼は, そのような粒界破壊は全く起らず, 室温ではもちろん衝撃試験における零下温度でさえも粒内破壊を示した. マルテンサイトラスの微細化, マトリクス中の炭化物の形状, 配列や分布の改善および高温焼もどしで生成する微細なサブグレイン等が, 鋼の強じん化に有益な効果を与えるように思われた.

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© 日本ばね学会
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