ばね論文集
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異形断面線を用いたコイルばね調査報告
異形断面線を用いたコイルばねに関する調査委員会
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1991 巻 (1991) 36 号 p. 54-76

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抄録

本報告は, 自動車エンジン用弁ばねを中心に近年我が国で採用が急速に拡がりつつある異形断面線を用いたコイルばねについて, 自動車メーカー9社, ばねメーカー13社, 材料メーカ6社および2大学が協力してその現状と問題点を調査した結果ならびに今後協力して解決すべき課題について明らかにしたものであり, その内容は以下のように要約される.
異形断面線を用いたコイルばねの現状
1. 自動車エンジン用弁ばねを中心に数年前より実用化され, 現在国内ばねメーカ数社による生産量は合計月産300万個以上に達している.
2. 用途は上記弁ばねのほか, クラッチばね, 自動変速機用ばね等で, 懸架用その他も検討されている.
3. 線の断面形状として卵形, 楕円形およびそれらを修正した多数の実用断面形状が特許出願されており, それらの一部が量産ばねに採用されている.
4. 素線径, ばね指数, 断面の長短径比などの実績は, ばねの用途別にある程度一定している.
5. 丸線ばねと比較して20~30%のコスト高となる.
解析・設計面からみた利点と問題点
1. 密着高さの低減など, 省スペース設計に寄与.
2. 線の断面形状とコイルの有効巻数を変化させて最適化を行なうことにより, ばねの軽量化が可能.
3. 応力分布の一様性の観点より円形, 楕円形, Fuchs卵形の素線断面を比較すると, 適当な長短径比の下では, 楕円断面が有利となる.
4. 応力解析の方法としては, 3次元ソリッド要素を用いた有限要素法, 解析と有限要素法又は境界要素法を併用した解法, フーリエ展開境界値平均法などが確立されており, いずれも実用上十分な精度で解析できるが, 実務的には簡易設計法の確立が望まれる.
5. 素線の倒れなどコイルの不完全性が応力分布におよぼす影響を解明する必要がある.
加工・評価面からみた問題点
1. コイル素線の倒れは応力分布に影響するため, 倒れの正確かつ迅速に測定する方法の確立.
2. 異形線の引張り破断部断面積の測定法およびコイル素線の断面形状の正確かつ迅速な測定法の確立.
3. 異形線の表面疵の検出精度の向上.

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