抄録
本報告は, たわみ量の増大やせん断応力の低減が期待される異形断面線を用いたコイルばねの応力解析とこれに基づく簡易設計法, ばね及び異形断面線の検査法に関するものである。
解析対象は実用断面形状への応用に際し基本となるだ円断面とFuchs卵形断面とに限定した。 これら線断面の輪郭上の応力をコイルばねの実用的な仕様範囲内で数値解析し, 同じ断面積を有する円形断面の場合と比較した。
その結果, 一般的な使用域ではだ円断面線を用いたコイルばねはFuchs卵形断面線を用いたものより優れていることがわかった。 また応力解析結果に基づき, これら二種類の素線断面を有するコイルばねの簡易設計法を示した。 さらに, 異形断面線の断面積やねじれ, 異形断面線コイルばねにおける素線のたおれなどの測定法及び検査法の現状を調査した結果についても紹介した。