樹木医学研究
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論文
オオバヤドリギの着生状況および形態・組織からみた寄生機構
吉川 枝里米田 美里岩永 史子山本 福壽
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2009 年 13 巻 4 号 p. 191-201

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抄録

オオバヤドリギ(Scurrula yadoriki (Sieb.) Danser)の寄生機構解明を目的として野外調査により宿主選択特性を検討した.さらに種子接種実験を行い,発芽と成長からオオバヤドリギの寄生特性を検討した.また接種したメタセコイアとヤマモミジの若木を用いて,解剖学的手法により着生部の組織を観察し,発達初期の吸器構造を明らかにした.この結果,本種は針葉樹,広葉樹,あるいは常緑樹,落葉樹を問わず多くの樹種に寄生することを確認した.吸器構造については宿主枝内部で楔状に発達した後,突起の発達した一次吸器と,着生部から軸方向に発達する二次吸器を確認した.吸器は宿主樹種によってやや異なる形態を示した.着生部における宿主の二次木部の過剰形成は,吸器の発達に対する宿主の抵抗反応によって引き起こされていることが示唆された.また,宿主二次木部内から樹皮方向へ突起状構造を拡大することにより,常に通水機能を有する新しい宿主木部との接触が可能になっていることが推察された.

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© 2009 樹木医学会
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