2021 年 25 巻 1 号 p. 1-9
本研究は,カラマツカタワタケにより孔状白色腐朽をおこしたカラマツ心材の生材状態における強度特性と容積密度,腐朽による木口面孔面積率の関係を明らかにすることを目的とした.117年生カラマツ林から健全木とカラマツカタワタケ腐朽木を伐採し,地上高4.3~6.3 mの心材から生材状態の試験体を採取した.容積密度,圧縮強度,曲げ強度,曲げヤング係数,動的ヤング係数,せん断強度,引張強度,木口面孔面積率を測定し,それぞれの関係を調べた.健全試験体,腐朽試験体ともに容積密度が低下するにつれ各強度と曲げヤング係数,動的ヤング係数が低下した.木口面孔面積率が増加するにつれ容積密度と各強度が低下し,木口面孔面積率を測定することで容積密度と各強度が概ね推定可能であることが示唆された.