抄録
イリオモテヤマネコFelis iriomotensis は1967 年に発見された西表島のみに生息するネコ科の小型種である。個体数は1985 年と1995 年の調査でいずれも約100 頭と推定され,特に減少傾向は認められなかったが,絶対数が少なく分布域が限られているため常に絶滅が危倶されている。1996 年にIUCN が発表したレッドリストおよび1998 年に環境庁が発表したレッドリストでは,いずれも「絶滅危倶」と位置付けられている。生息地の破壊交通事故移入動物の影響,伝染性疾病の侵入等が存続の阻害要因として考えられる。本稿では近年明らかになった問題点と保護フロジェクトの進展についてまとめた。