報告では,まず熱帯林をめぐるグローバル化の流れとして,植民地期における林野制度の近代化. 1990年代以降における木材市場の拡大,および 1990 年代以降,国際社会主導のもとに展開する熱帯林対策という 3つの段階に分けて概観した。次に,近年普及した参加型手法ならびにステイクホルダーという概念に照らして熱帯林をみたのち,日本の林業分野における国際協力のあり方について検討した。その中で新たに登場してきた社会林業について,その背景をなす分権化の問題点をインドネシアの黒檀産地を事例に考察し,国際市場に翻弄される産地の脆弱さ,および地方政府の有するキャパシティの問題として整理した。