Tropics
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アフリカの農業改革
アフリカの稲作振興に対する台湾の国際協力の過去,現在,そして将来展望に焦点を当てて
謝 順景
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2001 年 11 巻 1 号 p. 33-58

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抄録

アフリカは南半球で最も大きな大陸である。南端と北端の 2 つの温帯地域とそれに連なる 2 つの亜熱帯地域に挟まれた熱帯地域を包含し,極めて多様な生態環境を有する。この地理的条件により,アフリカの人々は多様な作物を栽培する。 6 億 5500 万人の大部分は農業に従事している。 主要食物はソルガム,ミレット等の雑穀類,とうもろこし,小麦,大麦,米,それにヤム,キャッサパ,サツマイモ,ジャガイモ,タロイモ等の根塊茎作物から成る。アジア稲は大変好まれている穀物であり,現在では,在来のアフリカ稲にとって代わっている。
人口増加による食糧問題を解決するために,ほとんどのアフリカの国々が稲の生産増に尽力している。稲の生産増を助けるために,台湾はアフリカへ技術援助を行った国の一つである。ここ 39 年間,国際技術合作委員会および国際合作発展基金会を通して,台湾は多数の専門家および技術者を世界の 6 つの地域に派遣した。台湾のアフリカにおける農業合作計画は. 1961 年に農業技術協力隊をリベリアに派遣して始まった。翌年. 23 の協力隊(合作隊)チームがアフリカ各地に配置されたが,後にそのうちいくつかは撤退した。 2001 年 5 月 1 日現在. 8 つの協力隊チームがアフリカ諸国で活動している。
この 39 年間で,アフリカの農業技術協力隊チームは 24 カ国,全体で 28,631 ha の水田を開墾した。同時に 18,244 ha の濯瓶水田に導水するため,全体で 2,784 km の濯淑用水路と1,524 km の排水用水路も建設した。このような稲作基盤の整備はアフリカ諸国の稲生産力を向上させるのに重要な役割を果たした。
報告では,アフリカ 13 カ国(ブルキナファソ,チャド,中央アフリカ共和国,カメルーン,ベニン,ガンピア,ギニアビサウ,コートジボアール,リベリア,マラウイ,モーリシャス,ニジエール,セネガル)における台湾の稲生産技術援助に焦点を当てた。アフリカにおける稲作技術協力におけるこれらの台湾モデルの過去の成果と技術移転時の諸問題を考察して,今後の技術協力の展望を述べた。

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© 2001 日本熱帯生態学会
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