アマゾン川河口のウルブエウア島における林令 30 年程度のパルゼア林(浸水林)とテラフィルメ林 (陸上乾燥林)を対象に、樹木個体数、種数、地上部現存量、人為、雨期(高水位期) ・乾期(低水位期)における樹幹横断面の導管形状値から両者を比較した。個体数・種数ともにテラフィルメ林が多かった(個体数: 85/400m 2,種数: 22/400m 2) が、パルゼア林では商品作物であるアサイヤシ(ElIterpeoleracea Mart.)の保護育成のための人為の大小によって方形区間で個体数にばらつきが見られた(個体数: 62 ± 19.51) 。林分の樹高階分布にも下層木の伐採の影響が見られた。方形区当たりの地上部現存量の推定値は平均値では両者はほぼ同じ値を示した(パルゼア: 12.43t,テラフィルメ: 11.56t)が、パルゼア林の区間差は大きく (SD: ± 6.02t)、人為が小さければ成長速度が速いことが 示唆された。岡林分の成長季節は、乾期と雨期の導管面積率・導管数・直径・周囲長の比較から、テラフィルメの樹木は雨期依存性であるが、林床を水に覆われるパルゼアの樹木は低水位の乾期に主に成長していることがわかった。