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ザイール,カフジービエガ国立公園に生息するヒガシローランドゴリラの食性研究の野外方法
山極 寿一湯本 貴和丸橋 珠樹Ndunda MWANZA
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1993 年 2 巻 4 号 p. 209-218

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抄録

ザイールのカフジーピエガ国立公園に生息するヒガシローランドゴリラの食性を分析するために,我々は長距離トランセクト法,糞分析,食痕の記録と追跡という3通りの方法を用いた。長距離トランセクト法は,出現頻度の低い植物の分布様式を明らかにでき,また,異なる植生タイプの植物の生息密度や種構成を記述するために有効な方法である。ゴリラの新しい糞に含まれている果実の種子や昆虫の破片からは,それらの食物の摂取量を計測でき,果実食や見虫食の季節変化や性,年齢による摂取量の違いを知ることができる。この糞分析に加えて,ゴリラの通過跡の新しい食痕を記録していくことによって,ゴリラの食物の構成を知ることができる。また,これらの3通りの方法をさまざまに組み合せて利用すれば,ゴリラの日々の遊動域と食物の分布や量の関係,ゴリラ,チンパンジー,ゾウによる種子散布,季節によるゴリラのエネルギー消費量や食物選択,そしてそれらの地域による違いを調べることができる。本論文では,これらの分析により得られた結呆のいくつかを紹介し,その有効性を検討した。

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© 1993 日本熱帯生態学会
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