1993 年 2 巻 4 号 p. 219-229
コンゴ北部のンドキの森において,ニシローランドゴリラ個体群に(1)ライントランセクト法による密度推定と(2 )社会集団の再構成を試みた。約24km2の調査地に設定した調査用歩道の周辺には,ライントランセクト法によって1 km2 あたり4-5 頭のゴリラの存在が推定できた。高密度の下生えによる短い発見距離, 1 集団中のメンバーの発見可能性センサスコースが一部の植性をカバーできなかった点,そしてゴリラの空間的集中分布は,推定の結果に影響を与えたかもしれない。社会集団の再構成は,同じ個体群に7 社会集団と複数のソリタリーが存在することを示唆した。この森においては,幾種かの水性植物の供給が繊維質と蛋白質含量の多い食品として高いゴリラの密度を支えているのだろう。