Tropics
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原著論文
東北タイにおける在来樹種と外来樹種の直径成長の季節性の比較
宮川 修一小見山 章Songsin PHOTCHANACHAI
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1995 年 4 巻 2+3 号 p. 143-149

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抄録
東北タイにおいて近年植栽が拡大している外来樹種Eucalyptus camaldulensis および外来ではあるが古くから利用されているCeiba pentandra ならびに在来のDipterocarpus obtusifolius について,幹直径の成長量をデンドロメーターを用い, 1991年7 月から1992年7月まで1 週間間隔で測定した。調査地は東北タイの東部ヤソトン市の近郊で,明瞭な雨季と乾季が存在し,乾季の後半で最も高温となるようなモンスーン気候下にある。Eucalyptus camaldulensis は雨季の間旺盛な成長が見られ,また乾季にも成長が継続し,高温期にのみ成長が停止した。Ceiba pentandra は比較的旺盛な成長を雨季の開示すが,乾季にはいると成長はほとんど停滞した。Dipterocarpus obtusifolius は雨季の聞の成長量も少なく,乾季にはほとんど成長が見られず,年間の成長期間は最も短かった。これらのことからEucalyptus camaldulensis の示す大きな成長量は,年間の成長期間の長いことと,その期間における成長速度の大きいことに基づいていると考えられる。
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© 1995 日本熱帯生態学会
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