ボゴール周辺に分布する食葉性テントウムシ3 種, Epilachna vigintioctopunctata Fabricius (以下EV と略す), E. enneasticta Mulsant (EN), Epilachna sp. 3 (EM) を実験室内で飼育して,生存繁殖スケジュールを明らかにし,パダン産(スマトラ西部州)の近縁種3 種(EV をふくむ)の結果とも比較した.
EV とENはナス科を食草とし,前者は日本産ニジュウヤホシテントウと同種である. EMはE. emarginata と類似の種で,キク科のツル草であるMikania sp. を食草とする. EV とEMは平地から海抜1400 メートルまで分布する普通種であり,成虫の分散力は強い. ENは海抜500 メートル以上にのみ分布しEV と共存するが,密度と成虫の分散力は, EV よりも低い.
1.卵から羽化までの発育日数は, 22.1 (EV) , 27.7(EM), 29.5(EN) であった.
2. 成虫の寿命(日)は,オス60 .4 (EV) , 66.7 (EM), 69.9 (EN) ,メス59 .3 (EV) , 73.6 (EN), 77.4 (EM)であった.
3. 産卵前期間(日)は, 9.6(EV), 13.9 (EM), 15.9 (EN) ,産卵終了から死亡までの日数は, 4.1(EV) , 5.4 (EM), 5.6 (EN) であった.
4. 1 メスあたり産卵数は, 322 (EN), 426 (EV), 650 (EM) であり,メスは,成熟してから死亡まで一定のペースで産卵し続けた.
5. 世代期間T( 日)は, 45 (EV) , 58 (EM) , 63 (EN) ,内的自然増加率r は, 0.081 (EN), 0.100(EM), 0.118 (EN) であった.
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