抄録
マレーシア森林研究所(FIRM)内のDipterocarpus baudii Korth. 人工林において,リターフォールの季節変動および年次変動を25 ヶ月にわたり調査した。全リターフォールのうち葉が63 %を托葉が12 % を占めた。この傾向は, 2 年間を通して観察された。全リターフォール量は1991 年が12.8 ton ha-1 year-1, 1992 年が9.6 ton ha-1 year-1であった。この2 年間の間の差は有意、なものであった。
Dipterocarpus baudii の全リターフォール,葉リターおよび托葉リターの季節変動は1 年に2 回のピークを示し,調査期間を通して同調する傾向を示した。D. baudii の全リターフォール,葉リターおよび托葉リターの時間的な変動は降水景の変化に有意な相関を示した。調査期間を通して, D. baudii の開花と種子生産は葉リターおよび托葉リターの落下と同調していた。開花および種子生産は1991 年よりも1992 年の方が多かった。1992 年により多くの生殖器官リターが生産されたことにより,葉および托葉リターの生産が減少した。
1991 年および1992 年のリターフォールによって供給された養分の量は,窒素(N) が107.9 - 152、リン(P) が4.7 - 6.4,カリウム(K) が20.4 - 29.2, ナトリウム(Na) が1.6 - 2.1,マグ不シウム(Mg) が11.8-16.4,そしてカルシウム(Ca) が71.9 - 102.2 kg ha-1 yr-1であった。