1996 年 6 巻 4 号 p. 429-434
ビッグツリーまたはシエラレッドウッドとも呼ばれているセコイアオスギは,カリフォルニア州のシエラネヴァダ山脈にその分布が限られており,セコイアメスギ(コーストレッドウッド)はカリフォルニア沿岸北部からわずかに北のオレゴン州に分布が伸びている。両種ともスギ科の植物で,その威容から米国では重要な文化的偶像となってきたと同時に,自然保護の歴史のなかで重要な役割を果たしてきた。両種は生態学的にはっきりとした違いがあるだけでなく,よく類似している面がある。従って,これらの生態学的要因を把握することは,両種の保護と両種が生育している森林群落を長期に亘って維持管理する戦略を考えるためにますます重要になってきた。現在,大面積のセコイアオスギ林が伐採から護られて存在し,一方セコイアメスギ林は小面積しか保護されていない。二十世紀の殆どの期間ではセコイアオスギ林の保全は,その伐採されていない「過熟林」を保議することで、あった。しかし,この数十年間国民,科学者,保護管理官の主な関心は,セコイアオスギとセコイアメスギが生育している自然生態系のすべてを含む「生態系の管理」へと移っていった。その手始めとして,国立公園,州立公園,その他の保護地以外の森林で,セコイアオスギ林及びセコイアメスギ林での集材をある程度のレベルに抑えることと,その森林の特徴と生物多様性を長期に亘って維持することと両立させる試みが今始まっている。