2000 年 9 巻 2 号 p. 147-151
マレーシア国サラワク州ランビル国立公園の熱帯雨林で,新しい送粉シンドロームであるリス媒が発見された。Madhuca sp.(アカテツ科)の花は,雄蕊と花弁が合着して,肉質な果実様の花筒を形成する。この花筒は甘く,ショ糖換算で15 %の糖度があった。また,この花筒は雌蕊や子房とは簡単に外れる。3 種のリスと1 種のムササビが花を頻繁に訪れては,花筒を手にもって食べる行動がみられ,その際に花粉が口のまわりや手についたのが観察された。植物個体間での花粉の移動は確認できなかったがリスやムササビが送粉に大きく関与していることが考えられる。