東北数学教育学会誌
Online ISSN : 2435-8886
Print ISSN : 2435-0613
シークバーを用いた割合分数の指導の開発
工藤 優市川 啓
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 53 巻 p. 14-24

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抄録

本研究の目的は,シークバーによって引き出される児童のインフォーマルな知識を活かした,割合の素地形成のための学習指導を開発することである。本稿では,第3 学年の児童を対象とし,児童が日常的に目にしているシークバーから,全体が異なる数量を同じ長さで表す図を想起し,割合が1/2 にあたる数量,割合が3/4 にあたる数量を求める問題解決を構想し,実践を行った。授業のプロトコルとワークシートと事後の評価問題を考察した結果,対象児童全てが,全体が異なる数量を同じ長さで表す図において,分数で示された割合が同じとき,同じ割合であっても割合にあたる数量が異なることを把握することができていた。そして,事後調査によって,8 割を超える児童が,「全体の数量も分数で表された割合も異なる場面」でも,割合にあたる数量を求め,その大小判断をすることができていた。以上のことから,本研究で開発したシークバーを用いた割合分数の指導が,割合の素地形成に資することが明らかになった。

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© 2022 本論文著者
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