抄録
知識ベースの手法を用いた,将来有望な人工衛星の不具合診断を紹介する.人工衛星の診断には2つの手法がある.センサベースの方法と知識ベースの方法である.前者はセンサ信号の検出から始まり,不具合を推定する.これに対して後者は不具合発生の背景から始まり,観測された衛星の状態と予想される状態を比較し,不具合を推定する.本研究では過去の衛星不具合データベースを利用した新しい知識ベースの手法を提案する.まず,54の衛星に関する95の不具合事例を集めた.次に,不具合を現象,原因,背景などによって分類した.そしてそれぞれの分類を分析し,特徴を発見した.その後,QuinlanのC5.0 というモデル作成アルゴリズムを用い,決定木を作成した.最後に,不具合予測の確率的な推論を実行するのに役立つベイジアンネットワークを構成した.