2012 年 41 巻 1 号 p. 21-27
芝草の維持, 管理に関する基礎資料を得るため, 土壌中における藻類の垂直分布を調べた。芝地とその対照地として草地および裸地の合計45地点から土壌試料を採取した。各調査地点の土壌試料を, 検土杖を用い約10cm深度で採取し, 各棒状の試料を1cm間隔に分取し, 各サンプルから藻類を分離した。その結果, 藻類が25属49種確認された。垂直方向における藻類の現存量は, 各地点で異なっており, 芝地に特有の分布ではなかった。土壌表面0〜2cmのサンプルに関して土壌中の藻類優占種を評価した結果, 藍藻綱, 緑藻綱, アオサ藻綱の種が優占種として分離された。優占種となった藍藻綱のPhormidium属とNostoc属の種は, 芝草に被害を及ぼすグループであり, 緑藻綱, アオサ藻綱の藻類は, 主として, 裸地化された場所の植生遷移段階の先駆植物となる種であった。
本研究で初めて土壌深度40cmと80cmにおいて藻類の存在が確認された。