芝草研究
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研究論文
Re-Identification of Clarireedia spp. Causing Dollar Spot Disease of Turfgrasses in Japan
Takao TsukiboshiToshihiro HayakawaKoya Sugawara
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 49 巻 2 号 p. 71-77

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抄録
寒地型および暖地型芝草にダラースポット病を引き起こす病原糸状菌は, 従来Sclerotinia homoeocarpaと分類されていたが, 日本各地で採集した菌株の形態およびrDNA-ITS遺伝子領域の塩基配列に基づく分子系統解析により, 再同定を行った。 26都道府県から採集した89菌株を用い, クリーピングベントグラス, ケンタッキーブルーグラス, ペレニアルライグラス, ノシバ, コウシュンシバ, センチピードグラス等から分離した63菌株は, コロニー形態および分子系統樹上の位置から, 世界で最も広く分布し, 寒地型芝草の病原菌として知られるClarireedia jacksoniiと同定した。Clarireedia属は交配等により形成された子のう盤およびコロニー形態と遺伝子配列から, 2018年に創設された新属である。コウシュンシバ, ノシバ, バミューダグラス, ベントグラス等から分離した18菌株は, 暖地型芝草の病原菌として世界に広く分布するClarireedia monteithianaと同定した。主にベントグラスから分離した8菌株は, 分子系統樹でClarireedia属の既知種とは異なるグループを形成し, 新種と推定されたため, Clarireedia sp. TG1とした。小型カップを用いた病原性試験および培地上での菌糸生育温度試験の結果, C. jacksoniiはノシバよりベントグラスに強い病原性を示し, 菌糸生育の最適温度は25℃で, 33℃では生育が認められなかった。これに対し, C. monteithianaは菌株によっては上記2草種に概ね同等の病原性を示し, 菌糸生育適温は28℃で, 33℃でも良好に生育した。Clarireedia sp. TG1は両草種に病原性を示し, 菌糸生育適温は20〜28℃であった。3菌種の採集地から, C. jacksonii は主に寒地型芝草菌として全国に分布し, C. monteithiana は暖地型芝草菌として西日本を中心に分布すると推定した。
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© 2021 日本芝草学会
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