抄録
本試験は, ベントグラスのグリーンに侵入混生するスズメノカタビラに対し, SAP乳剤の反復処理による防除効果と処理体系の確立を検討した。
試験は, 北海道石狩ゴルフ倶楽部のペンクロスベントグラスのパッティング・グリーンで, A (3.0cc/m2を夏1回処理) , B (3.0cc/m2を春・夏2回処理) , C (夏2.0cc/m2のほか1.0cc/m2を3回処理) を設けた。
処理は55年から始め, スズメノカタビラの混生率の推移を重ねわく法によって調査した。スズメノカタビラの混生率は, 試験開始3年後に激減し, SAPの顕著な効果が現われた。ただし, 処理区間における効果の差は判然としなかった。
ベントグラスに対するSAPの影響は認められなかった。
以上の結果より, ベントグラスのグリーンに侵入混生するスズメノカタビラの防除は, 雑草の根の再生および種子の発芽前 (8月中旬) に, SAP50%乳剤の3.0cc/m2の数年継続処理が最も有望である。