芝草研究
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寒地型芝草内におけるビスピリバックナトリウム塩によるスズメノカタビラ (Poa annua L.) 防除
伊織 新一中谷 暢男宮沢 武重
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2001 年 30 巻 1 号 p. 25-29

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抄録

寒地型芝草内のスズメノカタビラ制御剤としてのビスピリバックナトリウム塩の利用の可能性を明らかにすることを目的に, スズメノカタビラと寒地型芝草間の選択作用性, さらにはスズメノカタビラの出穂・開花に対する抑制効果をガラス室内ポット試験と屋外試験で調べた。
ビスピリバックナトリウム塩は出芽前のスズメノカタビラに対してほとんど阻害作用を示さなかったが, 生育期のスズメノカタビラには高い阻害活性を示した。その作用は一年型のスズメノカタビラよりも多年型のスズメノカタビラで大きかった。また, 両植物の感受性は葉齢の進展に伴い低下した。一方, 寒地型芝草のビスピリバックナトリウム塩に対する安全性はペレニアルライグラス≧トールフェスク>ベントグラス>ケンタッキーブルーグラスの順であった。また, 高薬量区でみられた寒地型芝草の茎葉の一時的な黄化症状は処理25日後には回復した。寒地型芝草とスズメノカタビラ間の選択性は芝草の葉齢の進展にともない上昇した。さらに, 屋外試験において, ビスピリバックナトリウム塩は, 0, 003ga.i./m2の低薬量からスズメノカタビラの出穂・開花をほぼ4週間にわたって抑制した。以上の結果から, ビスピリバックナトリウム塩は寒地型芝草内のスズメノカタビラ制御剤として有効であることが示唆された。

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