抄録
1972~1974年の間, 磐田市鮫島と静岡市大谷に予察灯を設置して芝草を加害する重要害虫特にガ類の発生消長を調査した。
(1) スジキリヨトウは1973年では全誘殺数の42%を, またツトガの一種は1974年では96%を占め, いずれも異常発生がみられ, 芝草に対する大きな被害が認められた。
(2) ツトガの一種は現在種名を同定中であるのでツトガの一種として報告する。現在のところ本種のわが国における分布は関東以西の大部分のゴルフ場に生息することが推察される。
(3) 東海地方におけるこの虫の発生回数は5月中旬~6月下旬, 7月上旬~8月上旬, 8月中旬~9月中旬および9月下旬~10月下旬の4つの発生の山がみられた。1973年の静岡では3化期の発生量が最も多く, 次は2化期の順で両期とも芝草に対する大きな被害がみられた。
(4) ツトガの一種の異常発生は芝草植栽後2年1カ月の極めて短期間後に起った。この虫は芝草とともに搬入されて伝播することがうかがえる。この虫を防除するには特に1化期における発生量を注意して, 多い場合は農薬による駆除を行なう必要がある。
(5) スジキリヨトウは東海地方では5月中旬~6月下旬, 7月中旬~8月中旬, 8月下旬~9月下旬の3つの大きい山と, 10月上旬~同下旬の小さい山がみられた。1973年の静岡では3化期に異常発生がみられた。またこの虫も芝草植栽後1年3カ月で異常発生し, 外部から芝草とともに搬入したことが推察された。
(6) この虫による芝草の被害は松や雑木の根部を中心に, 草丈の比較的長いラフに起った。この虫も1・2化期における成虫の発生量を注意する必要がある。
(7) 造成後間もないゴルフ場ではコガネムシ類による芝草の被害はみられず, ガ類による被害が顕著であった。