芝草研究
Online ISSN : 1884-4022
Print ISSN : 0285-8800
ISSN-L : 0285-8800
仙台市のグリーンベルトにおける雑草の生態と芝草管理について
蔭山 力
著者情報
ジャーナル フリー

1978 年 7 巻 1 号 p. 11-16

詳細
抄録

(1) 仙台市の中心部におけるグリーンベルトに侵入して繁殖する雑草の植生を調査したところ, 平均して芝生の約50%が雑草に占拠されていた。繁殖に関する雑草の生活型では風水散布型 (46%) と重力落下型 (36%) が多く, 5月から8月までの4ケ月にわたり生育を続けたのはセイヨウタンポポ, スズメノカタビラ, オオバコ, シロツメクサであった。
(2) 帰化植物の繁殖が顕著であり, 種類数による帰化植物率はほぼ50%であるが, 被度による帰化植物率は80%を越える時期があった。特に都市砂漠の指標植物といわれるセイヨウタンポポの優占度が常に高くて仙台市のグリーンベルトの環境悪化を示している。
(3) 街路の方位と高層建築物や街路樹の被陰による日照の不足は, 芝草の生育と雑草の植生を左右するため, 日光の殆んど直射しないグリーンベルトには, 芝草に代わる耐, 好陰性の地被植物 (例えばナガハグサフッキソウなど) を検討する必要がある。
(4) 芝草の管理に関して機械刈による芝刈の作業量を実験した結果, 仙台市が実施している月1回の芝刈では, 芝草, 雑草ともに徒長するため作業能率は53%と半減した。現在, 仙台市がグリーンベルトにかけている芝生管理費は35円/m2/1年で, 都市公園の芝生管理費の全国平均80円/m2/1年の半分にも及ばない。これを改善するために, 芝刈回数は月2回以上とし, 加えて適正除草剤の使用と乾燥時の灌水を実施することにより, 正常なるグリーンベルトの回復を望むものである。

著者関連情報
© 日本芝草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top